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法的安定性を欠く法律と日米同盟

安倍晋三首相は3月25日午前の参院予算委員会で、民主党(当時)の尾立源幸氏への答弁に対し、同月29日に施行される安全保障関連法について「この法制を廃止すると、せっかく強化された日米同盟の絆が大きく損なわれるのは事実だ。わが国の安全保障に対して極めて重大な影響を与える」と述べ、民主党(当時)など一部野党が求めている廃止を拒否した。高村正彦副総裁も3日のNHK番組で同趣旨の話をしている。

しかし安倍官邸も自民党執行部も、元最高裁長官・元最高裁判事・元内閣法制局長官並びに多数の憲法学者が指摘していることを全く理解していないようだ。この人たちは本当に「国権の最高機関」たる国会で「法律」を制定する資格があるのかと思えるほど愚かだ。

いま全国で本安保法制に対する違憲訴訟が準備されている。被侵害法益も固まっている。
だがこの訴訟は安保法制の違憲性・違法性を指摘する始まりに過ぎない。
なぜなら本安保法制には、虫食いのように問題があり、それは前記専門家が明確に「国会」で指摘した「法的安定性の欠落」にある。

特別委員会での決議も今後俎上に載る。
審議で指摘された「立法事実」「法の不明確性」もまた違憲性・違法性を含む。
憲法9条・前文・13条との関係では、従来の内閣法制局見解としての「武力行使との一体化についての大森四原則」との整合性(イラク自衛隊派遣訴訟高裁判決で判示)の問題もクリアされていない。

今後、実際の「自衛隊の作戦実施」にあたり、何が合憲で何が違憲か不明確と云う行政権の行使状態が次々と出現し、そのような法実施環境下で運用される作戦行動が、果たして日米同盟に資するかという根幹の問題を惹起することになる。

このことは昨年の国会において、宮崎元内閣法制局長官や阪田元内閣法制局長官が厳しく指摘しているが安倍官邸や自民党執行部は未だに理解していないようだ。法的安定性が欠落したできそこない法律を施行すると、作戦行動を実施する度に違憲訴訟が提起され、とりとめがなくなる。

今回は、駆け付け警護を先送りしたが、その先の混乱が見える。
安倍官邸は、すみやかに前記専門家の見解を聞き入れ、本安保法を撤回すべきだ。






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